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2016.04.24
印刷が出来るまで(印刷の仕組み)
①〜⑤「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックスその①「巻き取り紙」
オフセット輪転印刷とその下準備や後加工がどのように行われていくかを鹿沼オフ輪工場の内部紹介も兼ねて迫って行きたいと思います。皆様おつきあいの程よろしくお願いしますm(_ _)m
記念すべき第一回はまずこれがなくちゃ始まらない、「巻き取り紙」です。
どなたか「トイレットペーパーのお化け」と例えていましたが、オフセット輪転印刷はペースターにこの”巻き取り紙”をセットすることから始まります。巻き取り紙を輪転機で回転させて紙を流しながらどんどん印刷していくわけです。
この巻き取り紙の大きさを知ってもらうべく、私(身長171㎝)が隣に立ってみると、腰以上の高さにまで巻き取られています。ちなみに重さは300㎏以上!!(紙質等により前後します) これ1本でB3チラシ2万枚前後を印刷することができます。
〈2016,4,26 投稿記事〉その②「ペースター」
ペースターは巻き取り紙を回転させ高速印刷状態を維持しつつ巻き取り紙同士を繋ぐ装置です。せっかくなのでその瞬間をお見せせねば!ということで動画を用意しました。3分弱くらいです。
新しい巻き取り紙についている黒いものは両面テープです。新しい巻き取り紙の先に貼った両面テープの部分に古い巻き取り紙をくっつけ(ペースト)て、その瞬間古い巻き取り紙をカットして切り離す、という作業が行われます。そして両面テープで貼られた部分(つなぎ目)は一瞬のうちにインフィードを通過していきます。これ間近で見ると結構な迫力だったりします。
〈2016,5,9 投稿記事〉その③「インフィード」
その②の動画の最後にもちょろっと出てきたインフィード、名前を聞いても「?」だと思います。
「送り込む」という意味を持つこの部分は、ペースターから流れてきた紙を19本ものローラーと内部にある「ウェブガイド」と呼ばれる機械、そして後に触れる「クーリング」との連携により、印刷部に紙が入る際のスピードや張り、位置を逐一調節して一定に保ってくれます。これがないと印刷が上下左右にブレたり紙にシワが寄ってしまったり最悪紙が切れてしまったり…オフセット輪転印刷には欠かせないありがた~い装置です。
〈2016,5,17 投稿記事〉印刷ができるまで その③のおまけ
上記は「インフィード」だったわけですが、お隣にあるミヤコシ機にはここにちょっと…どころじゃない全く違ったものがあります。が、機能はインフィードと全く同じです。
それがこの「ダンサー」。動画は巻き取り紙同士が繋がったときのものです。
まるでね〇~る君のようだネバ~!
ちなみによぉ~く見るとその②で触れた「つなぎ目」が上下しつつ流れていくのが見えます。
〈2016,5,24 投稿記事〉その④ 「紙質」
その④は機械からちょっと離れて「紙質」のお話です。
鹿沼オフ輪工場ではその紙質から大きく分けて3種類の紙を使用しています(一部例外もありますが)。
紙質の違いを写真でお見せして一目瞭然!と思ったのですが、いざ撮った写真見ても…よく分かんないなこれ…すいません…m(_ _)m
というわけで文章で説明。
まずは「上質紙」。化学パルプのみで製造された「ザ・紙」ともいえるノーマルな紙です。ざらつきがあり、教科書等の書籍やノート・メモ帳・コピー用紙など日常で目にする機会の多い紙でもあります。
次に「コート紙」。上質紙に薬品を塗布しコーティングを施した紙です。チラシに使用する紙としては最もメジャーといえる光沢のある紙です。触るとツルツルしています。表面にざらつきがないためインキの乗りも良いです。
最後は「マットコート紙」。こちらも上質紙にコーティングを施した紙ですが、コート紙に比べて幾分マット(つや消し)でしっとりした質感です。とはいっても上質紙に比べると光沢等はあります。上質紙とコート紙の中間に位置する紙です。簡単に説明しましたが、どの紙が良い、というのはありません。広告の性質に合わせて選ぶと良いかと思います。
〈2016,6,15 投稿記事〉その⑤「上胴」と「下胴」
印刷ができるまで、その⑤にして輪転機の核である印刷部に入ります。
今回はそのプロローグということで、ご挨拶代わりに高速印刷時の動画を。各ユニットの「上胴」で裏面を、「下胴」で表面を印刷しています。進むごとに色が重なっていくのが分かるでしょうか。ここでは説明するところがたくさんあります。「インキ」に「水」に「平版」に「ブランケット」にそもそも「オフセット印刷の理論」がどのようなものかとか…。私もどう話を進めようか頭を悩ませております(汗)
次回はそのたくさんある説明箇所からまずインキをチョイス。
〈2016,6,21 投稿記事〉 -
2018.07.27
印刷が出来るまで(印刷の仕組み)
⑥〜⑩「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックスその⑥「インキ」
紙はインフィードを抜けると4色のインキで印刷されていきます。1枚目の写真は上胴(裏面印刷)に使用するインキを入れる「インキツボ」、2枚目は下胴のイエローのインキツボです。インキツボに別室にあるインキドラムからパイピングという装置を使い各インキツボにインキを供給します。
この一般的なカラー印刷に使用する4色を総称して”CMYK”と言ったりしますが、実際はK(黒)→C(シアン・明るめの青)→M(マゼンタ・紫がかった赤)→Y(イエロー)の順で印刷していきます。これはインキの粘着性が強い順に並んでいて、インキが乾かない内に次のインキをのせる際、この「粘着性が強い順」が最も綺麗に印刷できるというわけです。
とここまで聞いて「?」と思った人もいるかもしれません。Kだけ日本語?このKはKuroやblacKではなく”Key plate”の略です。理論上は減法混色を基とした色の三原色であるCMYの掛け合わせで黒も再現できるはずなのですが、実際に印刷してみるとどうもパンチのある黒が出ないという経験から、画像の輪郭などを表現するために用いられた印刷板(これがKey plate)に黒のインキを別途使用した、というのが由来であります。
〈2016,6,28 投稿記事〉その⑦「インキ室」
鹿沼オフ輪工場の隅にあるインキ室です。
ここには1本200㎏(!)のインキドラムたちが所狭しと並べられています。ここでパイピングシステムにセットされたインキドラムから各インキツボにインキが供給されていきます。
ドラムのラベルには下の写真のようなマークが印刷されています。エコマークの下にあるのは”VEGETABLE OIL INK”マーク。原料に大豆などの植物由来の油を使用した環境に優し~いインキです。
時にCMYKのプロセスカラー印刷が困難な色指定(特に単色印刷時)があります。そんな時に活躍するのが特色インキ(写真4枚目)です。ちなみに「金赤」とは特色インキの中でもメジャーなインキで、マゼンタとイエローを1:1前後の割合で混ぜたもので赤と朱色の中間あたりの色です。
在庫の特色インキにもない色指定の場合にはオペレーターがインキを混ぜ合わせて色を作ることもあります。そんな時に使用することがあるのが右にある「メジューム」。これはインキと混ぜることでそのインキの色合いを薄めることができます。シアンに混ぜると水色に、マゼンタに混ぜるとピンクになります。
〈2016,7,6 投稿記事〉ラベルの写真
特殊インキ
その⑧「ローラー」
印刷ユニット内にはたくさ~んのローラーがあります。
上胴に17本、下胴に18本のローラーが着いています。金属製のものとゴム製のものがあり、それぞれに役割があります。大きく分けると、「インキツボから適量のインキをローラー群に移す」「インキを練りこむ」「インキを平版に着ける」「水舟から水を版に移す」の4つ。色んなところから撮影したローラー、ご覧いただければと思います。なお、印刷時にはこれらのローラーは当然高速回転しています。手を入れたりすると危ないのでしっかりカバーをしてあります。
(印刷中にカバーを開けると機械が自動で停止する仕組みになっています)
〈2016,7,13 投稿記事〉その⑨「水」
その⑧でも話しましたが、ローラーの中には水を平版に移すものがあります。
以前、私の友人に印刷機の話をしたところ、「水使うの!?」と驚かれたことがあります。平版印刷は水と油の反発する性質を利用した印刷方法で、水がなければ印刷できません。
平版にインキと水の両方を供給することで必要な箇所にインキをのせ、必要な箇所以外にインキがのらないようにします。印刷に使用する水のことを「湿し水」といい、ユニット裏にある湿し水用のタンクで適温(鹿沼工場では10~12℃)に保ちつつ、各「水舟」へと供給されていきます。水舟からローラーで湿し水を適量移していき最後平版にうっっすら均一の水膜を張るように湿らせる、という構造になっています。
ちなみにこの湿し水、特殊な液体を混ぜ合わせて印刷向けにカスタマイズされています。pH5前後の酸性。飲んだことはないですが多分飲まないほうがいいです。
〈2016,7,20 投稿記事〉その⑩「平版(へいはん)」
平版というと少々こそばゆいです。普段は「版」とだけ言っているので。印刷で「版」というと版画のように色のつく部分とつかない部分で凹凸があるのが普通ですが、これは凹凸はありません。だから「平版」。
写真は黒・シアンそれぞれの平版です。材質はアルミです。見てもらうとと緑色の部分と白の部分があります。緑色が「画線部」と呼ばれる部分で、白が「非画線部」。親油性処理を施した画線部にインキがのり、親水性処理を施した非画線部には湿し水がのることによりインキがのらないようになります。その⑨で「平版印刷は水と油の反発する性質を利用した印刷方法」と書きましたが、平版の画線部と非画線部によりそれが分けられる、というお話でした。
〈2016,8,23 投稿記事〉
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー -
2018.07.26
印刷が出来るまで(印刷の仕組み)
⑪〜⑮「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックスその⑪「網点とベタ」
その⑩で黒と思案の平版をお見せしましたが、平版の画線部には薄いものと濃いものがあります。
写真は25倍拡大のルーペで覗いたものです。薄いものは水玉模様状になっていて、この一つ一つの玉のことを「網点」といいます。濃いものはオール緑の状態で、これを「ベタ」といいます。画線部のそれぞれの色の濃さはこの網点の大きさで決まります。そして、その網点の大きさが最大の状態がベタとなります。
各色、そして太い(大きい) 細い(小さい)網点を重ね合わせることで様々な色を表現することができます。写真やイラストはほぼ網点からなっているので、手元にルーペや虫めがねがある方は一度覗いてみるのもいいかもしれません(それほど倍率が高くなくても点々になっている感じは分かるかと思います)。
〈2016,8,31 投稿記事〉
その⑫「刷版室」
平版をデータに従いインキをのせる部分とのせない部分とに分ける作業を「版を焼く」「刷版(さっぱん)」といい、その作業をこの刷版室の刷版機で行います。
まずクライアント様から受け取ったデータをPhotoshopとIllustratorを使って処理、出力用のデータを作成します。出力用データを刷版用のソフトウェアを使って刷版機に送り、いよいよ刷版のスタートです。見た目、画線部のみからなる平版を内部で赤外線レーザーを照射してインキをのせる部分のみ「露光」します(この露光のことを「焼く」といいます)。出てきた見た目何も変わっていない平版を今度は現像液の中に通します。これによって露光した部分以外の画線部は取り除かれ非画線部となります。これにて刷版終了!という話をプリプレス課の人に教えていただきました。(2016,9,7 投稿記事)
メインとなる「版を焼く(露光)」場面は機械上の関係で残念ながらお見せできないのですが、上記で書いた「出てきた見た目何も変わっていない平版を今度は現像液の中に通します。これによって露光した部分以外の画線部は取り除かれ非画線部となります。」の部分をプリプレス課の人に撮っていただきました!中を洗浄して現像液を取り替えた直後でないと取り除かれた画線部により液体が緑色に変色してしまい平版が通る様子が見えなくなってしまうとのことです。超激レア!この第12回はプリプレス課の人に大変お世話になりました。
(2016,9,13 投稿記事)その⑬「版胴とブラン胴」
各色ユニットの上下についている版胴とブラン胴。刷版室で作成された平版を版胴に巻き付けることで印刷が可能になります。
平版の画線部にのったインキがブラン胴に転写し、それがさらに紙に転写されることで印刷されるという仕組みです。「印刷工場見学会」や「かっぱんだ」がブラン胴で逆さになっているのが分かるでしょうか。
ブラン胴に巻かれているブランケットはゴム製。上下両ブラン胴の間に紙を通し裏表両面を一度に印刷します。版と紙が直接触れないというのはオフセット印刷の大きな特徴です。
ちなみにブラン胴の両端にうっすら見える白い線、これは紙の両端が高速でブラン胴の間を通る際にかすかに削れ堆積したものです。
(2016.10.5 投稿記事)
その⑭「平版オフセット印刷理論」
下記の画像は今年の印刷工場見学会で各色印刷ユニットに貼られていたものです。
パイピングからインキつぼに溜まったインキがたくさんのローラーに練られながら版胴に移っていきます。その一方で湿し水も水舟からローラーを伝って版胴へ。平版に到達したインキは画線部に、湿し水は非画線部にのります。これで絵や文字が印刷可能な状態になります。
平版の画線部にのったインキはブラン胴に転写され移ります。そしてブラン胴にのったインキは紙にさらに転写され移ります。ブラン胴で絵や文字が一旦逆さになった後、紙に逆さの逆さで平版と同じ向きで印刷されます。
これが表裏四色一気に行われ一瞬のうちに印刷が完了します。
“オフセット(off-set)”には「離して付ける」という意味があり、平版から一旦別のところ(ブランケット)に離した後、紙に付けるという間接性を表したものです。
2016.10.18投稿記事その⑮「ドライヤー」
紙に印刷されたインキ、当然そのままだとべとべとです。のでドライヤーで乾かしていきます。ドライヤーといっても皆様のご家庭にあるアレとは別物の、長さ4m、高さ2.5mあるドデカイものです。紙はこの中を高速で通過するわずかな時間(B4の紙なら最速で約0.78秒)に上下28本あるノズル(印刷中は蓋が閉まって通過中の紙とノズルは見えなくなります)から出る180℃前後の熱風にさらされ急速乾燥されます。オフセット輪転印刷では熱を加えると急速に乾燥するインキ「ヒートセットインキ」というものを使用しているので、この短い時間でも十分に乾きます。これにより後工程なく高速印刷が可能となります。
ちなみに、ノズルから出る熱風がドライヤー外に出ることはありませんが、ドライヤー本体からは僅かながら熱が滲み出てきます。この熱が暖房としての役割もしてくれちゃったりして寒い季節重宝します(夏は要冷房ですが…)。2016.10.26
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックス -
2018.07.26
印刷が出来るまで(印刷の仕組み)
⑯〜⑳「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックスその⑯「クーリング」
ここには様々な機能が備わっているので2回に分けて説明していきます。
ここの基本性能としては先に触れた「インフィード」と同じです。ドライヤーから流れてきた紙を15本ものローラーと内部にある「ウェブガイド」、「インフィード」との連携により、印刷部に紙が入る際のスピードや張り(「テンション」といいます)、位置を逐一調節して一定に保ってくれます(詳しくは「その③」をご覧下さい。)
ですが、ここの機能はそれだけではありません。”cooling”の名の通り、ドライヤーで120℃近くにまでなった紙の温度を下げ、ヒートセットインキを固まらせる働きがあります。ドライヤーから出てきた直後にある3本の太いローラーの中には冷たい水が循環しています。この冷え冷えのローラー達に巻かれることよって紙とインキは一気に急速冷却されます。
(2016.11.9投稿記事)クーリング後編
ここクーリング部に設置している技ありマシン達を紹介していきます。
まずは紙の端を照らす2つのライト。KCMY各色の平版はぴったり重なって(「見当が合う」といいます)印刷され続ける必要があります。印刷物の横端には必ず各色小さい「マーク」が印刷されていて、マークをこの装置で読み取ることによってそれを可能にしています(これについては後々詳しく触れていきます)。
次に白い液体の入った水槽。これは水に帯電防止剤を混ぜ合わせたものです。特に冬の時期は紙が静電気によって揃わず出てくる現象が起こってきます。この水槽から紙に帯電防止剤を混ぜ合わせた水を薄~くのせることによりそれを抑えることができます。
そして最後は3枚目の写真手前のローラー。「コンペンセータローラー」といって、そのすぐ後にあるセンサーで印刷物の位置を読み取り、それを基にこのローラーをこまめに上下動させることで印刷物が常に紙の中心に来るよう逐一調節してくれます(奥に上下動させるための装置も写っています)。
こうやって改めて書いてみると「よくできてるなぁ」と…。
(2016.11.16投稿記事)その⑰「排紙部」
ここで印刷物が完成されて日の目を見ることとなります。
この機械では排紙部に2つのルートがあり、印刷物のサイズによって使い分けています。ひとつは排紙部下を通る二つ折りのB3やA3に使われる「折機部」、もうひとつは排紙部上を通る折らないB4やA4等に使われる「シーター部」。
クラッチ操作と紙の通し直しで簡単にルートチェンジすることができます。
(2016.11.30投稿記事)その⑱排紙部の「折機部」
B3やA3の印刷物を「折り出し」する折機部では、印刷速度と同じ速度で紙を切って折る必要があります。紙は折機部内の「断裁胴」「折胴」「咥(くわえ)胴」をそれぞれ通過して完成品となり排紙口に向かいます。
まず断裁胴にある「断裁刃」で紙に切れ目を入れ(動画ではあまり見えてない…ミシッという音が切れ目の入る音です)、切れ目のそばに折胴から出た10本の「針」を刺し、針で引っ張ることで紙が切り離されます(これも折胴の下の方で行われていて見えない…申し訳ない…)。折胴から出た「差し込みナイフ」で紙の真ん中を浮かせたところを咥胴の「咥板」で咥えて紙を排紙口に持っていくところで丁度針が引いて、最後に咥えも離れる。という一連の作業を流れるように行います。1分間にB3が600枚印刷できるこの機械、当然折り出しも1分間に600枚の速度で行われます。
それにしてもここ、書いて説明するのムズい…。※普段ここは扉やカバーで覆われていて、それらを開けると機械が自動停止する仕様になっています
(2016.12.7投稿記事)その⑲「シーター部」
こちらはB4やA4などを印刷するときに通す、紙を切ってそのまま出すところです。
シーター部に入った直後に鎮座する「シーター胴」。これには2本の「上刃」がついています。この上刃2本のついたシーター胴が回転し、下に固定してある「下刃」とで挟み切る、というつくりになっています。切れた紙はもはや何本あるか分からないベルト達によってジェットコースターの如く排紙口へ。こちらは折り等の加工がなありません。※ここも普段扉で覆われていて、それらを開けると機械が自動停止する仕様になっています
(2016.12.14投稿記事)その⑳「コントロールボックス」
排紙部横に鎮座する「コントロールボックス」。その名の通り、基本ここで輪転機をコントロールしています。今回はその右半分をご紹介。
まず写真右下にあるボタン。これで輪転機のスタート・ストップをさせます。何らかの理由で急停止したい時には赤いボタンを。これはなるべく押したくないですね~。
ここからは各モニターの紹介。全てタッチパネルです。写真右上のモニターは、印刷速度や紙の張り(テンション)の管理、機械異常箇所表示、自動版付け、シリコン量調節、ブランケット洗浄など様々な業務を行います。
続いて写真左上。製版の方で各ジョブごとに色のデータを作成、それをここに入力することで、印刷開始(「刷り出し」と言います)時点で色味が見本に近い状態で始められます。ちなみにデータのやり取りは今時フロッピーディスク!
最後に写真左下。ここでインキと水の量を管理・調節します。インキはインキつぼのインキ元ローラー、水は水舟の水元ローラーの回転速度を速めたり遅くしたりすることでインキや水の量を全体的な量を増やしたり減らしたりします。輪転機のコントロールはこれだけでは終わらない。
(2017.1.18投稿記事)「コントロールボックス」の後編・左半分を紹介していきます。
左半分、まずは写真左上のモニター。ここでドライヤーの各所温度を管理・調節します。ドライヤー内部が適温で燃焼しているか、紙面温度が高すぎたり低すぎたりしないか、異常はないかを見ることができます。
次に右下の12の緑の棒グラフ。各ユニット上下のインキつぼ内部には12の「つぼキー」と呼ばれるものが並んでついています。この棒グラフを上げると上げたラインのつぼキーが開きます。つぼキーが開くとキーとつぼローラーとの隙間が大きくなり、そこに流れるインキ量が多くなります。グラフを下げてキーを閉じるとつぼローラーとの隙間が小さくなりインキ量は減るわけです。この棒グラフの上げ下げによって各ラインのインキ量を調節し、印刷物を見本色に近づけていきます。
最後に左下のボタン群。これは「版見当」を合わせるのに使用します。4色×4色の平版がピッタリ合わさった状態で印刷する必要があり、それぞれの平版の位置をここで調整します。右側が自動で、左側が手動で動かす際に使用します。ここについては次回ガッツリとフィーチャーします。(2017.1.25投稿記事) -
2018.07.27
印刷が出来るまで(印刷の仕組み)
㉑〜㉔「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックスその㉑「版見当」
その⑳でも書きましたが、表4色裏4色の平版の位置がピッタリ合った状態で印刷されなければなりません。そのためにそれぞれの平版の位置を調整する必要があります。
折込みチラシを見てみると、側面や端に写真1枚目のような各色の点がついていることがあります。この「ダイヤ」と呼ばれる点を写真2枚目のクーリング部に取り付けてあるカメラでスキャニングし、かつこのダイヤの位置が常に正しくあるよう写真3枚目右側の自動見当制御装置で調整し続けることによって、平版の位置がピッタリ合った状態を維持したままでの高速印刷が可能となります。
自動見当制御装置による位置調整で各版大体0.03㎜以内と普通に見た感じでは分からないレベルで合ってきます。が、ここでオペレーターが印刷物の見当ズレをルーペで確認しながら、手動で微調整、より完璧な製品にしていきます。その㉒「スタバン」
スタバンとは「スタッカーバンドラー」の略です。印刷物を積み重ねて(stack)、束にする(bundle)機械です。
排紙部から印刷物たちがエアーとバイブレータで縦横を揃えられながらベルトで運ばれてきます。そして「小束スタック」と呼ばれる所に一旦積み重ねられ、設定した数に達するとエレベータとターンテーブルを通って「大束スタック」に移動。大束スタックが設定した段数に達したところでバンドラー部に搬送されます。ここで当て紙をされつつ結束、めでたく商品として出荷できる状態となります。
それにしてもこのスタバンを作っているのは、あの下着メーカーのグンゼ株式会社!中の人も初めて見たときは「あのグンゼ!?」とびっくりしたものです。というわけで、これにてオフセット輪転機の紹介、全て完了となります!
その㉓「断裁」
出来上がった印刷物には後加工が施されることがあります。鹿沼工場では印刷物の後加工も行っています。今回はそのひとつ「断裁」について。紙を指定に合わせて切る、という加工です。
永井機械製作所さんの断裁機による四方断ち動画です。事前にどこをどの順番で断つかを機械に記憶させてからの作業です。余裕を持って600枚程度で行っていますが、基本1000枚束がスパスパ切れます。今回は白紙での断裁ですが、普段は「トンボ」と呼ばれる目印に沿って指定された寸法に断裁します。これを「化粧断ち」といいます。これにより普通の印刷物の四方にある白い余白(白フチ・白場)を取り除いたり、特殊なサイズで仕上げたりすることができます。
なお、断裁は断裁刃から離れたところにある2つのボタンを両手を使って押さないとできない仕組みになっているので、作業者が手を切ってしまったりする心配はありません。その㉔「折り加工」
印刷物を用途に応じ様々な折り加工を施すことでただのチラシとはひと味もふた味も違ったものになります。
鹿沼工場にはHorizon社製のフォルダー(紙折機)のAF-566T4Fとフィーダ(給紙機)のRFU-54が備わっています。
この折り加工機は輪転機の折機部の折り出し側で採用されているナイフ折りではなく「バックル折り(羽根折りとも)」という方式を採用しています。6枚羽と4枚羽の二か所のバックルを駆使して、2つ折り、4つ折り、DM折り、巻き3つ折りetcetc…様々な折り加工を行うことができます(詳しくはお問い合わせ下さい)。