「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックス
その⑯「クーリング」
ここには様々な機能が備わっているので2回に分けて説明していきます。
ここの基本性能としては先に触れた「インフィード」と同じです。ドライヤーから流れてきた紙を15本ものローラーと内部にある「ウェブガイド」、「インフィード」との連携により、印刷部に紙が入る際のスピードや張り(「テンション」といいます)、位置を逐一調節して一定に保ってくれます(詳しくは「その③」をご覧下さい。)
ですが、ここの機能はそれだけではありません。”cooling”の名の通り、ドライヤーで120℃近くにまでなった紙の温度を下げ、ヒートセットインキを固まらせる働きがあります。ドライヤーから出てきた直後にある3本の太いローラーの中には冷たい水が循環しています。この冷え冷えのローラー達に巻かれることよって紙とインキは一気に急速冷却されます。
(2016.11.9投稿記事)
クーリング後編
ここクーリング部に設置している技ありマシン達を紹介していきます。
まずは紙の端を照らす2つのライト。KCMY各色の平版はぴったり重なって(「見当が合う」といいます)印刷され続ける必要があります。印刷物の横端には必ず各色小さい「マーク」が印刷されていて、マークをこの装置で読み取ることによってそれを可能にしています(これについては後々詳しく触れていきます)。
次に白い液体の入った水槽。これは水に帯電防止剤を混ぜ合わせたものです。特に冬の時期は紙が静電気によって揃わず出てくる現象が起こってきます。この水槽から紙に帯電防止剤を混ぜ合わせた水を薄~くのせることによりそれを抑えることができます。
そして最後は3枚目の写真手前のローラー。「コンペンセータローラー」といって、そのすぐ後にあるセンサーで印刷物の位置を読み取り、それを基にこのローラーをこまめに上下動させることで印刷物が常に紙の中心に来るよう逐一調節してくれます(奥に上下動させるための装置も写っています)。
こうやって改めて書いてみると「よくできてるなぁ」と…。
(2016.11.16投稿記事)
その⑰「排紙部」
ここで印刷物が完成されて日の目を見ることとなります。
この機械では排紙部に2つのルートがあり、印刷物のサイズによって使い分けています。ひとつは排紙部下を通る二つ折りのB3やA3に使われる「折機部」、もうひとつは排紙部上を通る折らないB4やA4等に使われる「シーター部」。
クラッチ操作と紙の通し直しで簡単にルートチェンジすることができます。
(2016.11.30投稿記事)
その⑱排紙部の「折機部」
B3やA3の印刷物を「折り出し」する折機部では、印刷速度と同じ速度で紙を切って折る必要があります。紙は折機部内の「断裁胴」「折胴」「咥(くわえ)胴」をそれぞれ通過して完成品となり排紙口に向かいます。
まず断裁胴にある「断裁刃」で紙に切れ目を入れ(動画ではあまり見えてない…ミシッという音が切れ目の入る音です)、切れ目のそばに折胴から出た10本の「針」を刺し、針で引っ張ることで紙が切り離されます(これも折胴の下の方で行われていて見えない…申し訳ない…)。折胴から出た「差し込みナイフ」で紙の真ん中を浮かせたところを咥胴の「咥板」で咥えて紙を排紙口に持っていくところで丁度針が引いて、最後に咥えも離れる。という一連の作業を流れるように行います。1分間にB3が600枚印刷できるこの機械、当然折り出しも1分間に600枚の速度で行われます。
それにしてもここ、書いて説明するのムズい…。
※普段ここは扉やカバーで覆われていて、それらを開けると機械が自動停止する仕様になっています
(2016.12.7投稿記事)
その⑲「シーター部」
こちらはB4やA4などを印刷するときに通す、紙を切ってそのまま出すところです。
シーター部に入った直後に鎮座する「シーター胴」。これには2本の「上刃」がついています。この上刃2本のついたシーター胴が回転し、下に固定してある「下刃」とで挟み切る、というつくりになっています。切れた紙はもはや何本あるか分からないベルト達によってジェットコースターの如く排紙口へ。こちらは折り等の加工がなありません。
※ここも普段扉で覆われていて、それらを開けると機械が自動停止する仕様になっています
(2016.12.14投稿記事)
その⑳「コントロールボックス」
排紙部横に鎮座する「コントロールボックス」。その名の通り、基本ここで輪転機をコントロールしています。今回はその右半分をご紹介。
まず写真右下にあるボタン。これで輪転機のスタート・ストップをさせます。何らかの理由で急停止したい時には赤いボタンを。これはなるべく押したくないですね~。
ここからは各モニターの紹介。全てタッチパネルです。写真右上のモニターは、印刷速度や紙の張り(テンション)の管理、機械異常箇所表示、自動版付け、シリコン量調節、ブランケット洗浄など様々な業務を行います。
続いて写真左上。製版の方で各ジョブごとに色のデータを作成、それをここに入力することで、印刷開始(「刷り出し」と言います)時点で色味が見本に近い状態で始められます。ちなみにデータのやり取りは今時フロッピーディスク!
最後に写真左下。ここでインキと水の量を管理・調節します。インキはインキつぼのインキ元ローラー、水は水舟の水元ローラーの回転速度を速めたり遅くしたりすることでインキや水の量を全体的な量を増やしたり減らしたりします。
輪転機のコントロールはこれだけでは終わらない。
(2017.1.18投稿記事)
「コントロールボックス」の後編・左半分を紹介していきます。
左半分、まずは写真左上のモニター。ここでドライヤーの各所温度を管理・調節します。ドライヤー内部が適温で燃焼しているか、紙面温度が高すぎたり低すぎたりしないか、異常はないかを見ることができます。
次に右下の12の緑の棒グラフ。各ユニット上下のインキつぼ内部には12の「つぼキー」と呼ばれるものが並んでついています。この棒グラフを上げると上げたラインのつぼキーが開きます。つぼキーが開くとキーとつぼローラーとの隙間が大きくなり、そこに流れるインキ量が多くなります。グラフを下げてキーを閉じるとつぼローラーとの隙間が小さくなりインキ量は減るわけです。この棒グラフの上げ下げによって各ラインのインキ量を調節し、印刷物を見本色に近づけていきます。
最後に左下のボタン群。これは「版見当」を合わせるのに使用します。4色×4色の平版がピッタリ合わさった状態で印刷する必要があり、それぞれの平版の位置をここで調整します。右側が自動で、左側が手動で動かす際に使用します。ここについては次回ガッツリとフィーチャーします。(2017.1.25投稿記事)