「印刷工場みやもと鹿沼工場」のFacebookで掲載していた「印刷ができるまで」をまとめたページです。印刷についてや印刷に関わる機械のことなど、わかりやすく解説しています。
網点とベタ/刷版室/版胴とブラン胴/平版オフセット印刷理論/ドライヤー
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックス
その⑪「網点とベタ」
その⑩で黒と思案の平版をお見せしましたが、平版の画線部には薄いものと濃いものがあります。
写真は25倍拡大のルーペで覗いたものです。薄いものは水玉模様状になっていて、この一つ一つの玉のことを「網点」といいます。濃いものはオール緑の状態で、これを「ベタ」といいます。画線部のそれぞれの色の濃さはこの網点の大きさで決まります。そして、その網点の大きさが最大の状態がベタとなります。
各色、そして太い(大きい) 細い(小さい)網点を重ね合わせることで様々な色を表現することができます。写真やイラストはほぼ網点からなっているので、手元にルーペや虫めがねがある方は一度覗いてみるのもいいかもしれません(それほど倍率が高くなくても点々になっている感じは分かるかと思います)。
〈2016,8,31 投稿記事〉
その⑫「刷版室」
平版をデータに従いインキをのせる部分とのせない部分とに分ける作業を「版を焼く」「刷版(さっぱん)」といい、その作業をこの刷版室の刷版機で行います。
まずクライアント様から受け取ったデータをPhotoshopとIllustratorを使って処理、出力用のデータを作成します。出力用データを刷版用のソフトウェアを使って刷版機に送り、いよいよ刷版のスタートです。見た目、画線部のみからなる平版を内部で赤外線レーザーを照射してインキをのせる部分のみ「露光」します(この露光のことを「焼く」といいます)。出てきた見た目何も変わっていない平版を今度は現像液の中に通します。これによって露光した部分以外の画線部は取り除かれ非画線部となります。これにて刷版終了!
という話をプリプレス課の人に教えていただきました。(2016,9,7 投稿記事)
メインとなる「版を焼く(露光)」場面は機械上の関係で残念ながらお見せできないのですが、上記で書いた「出てきた見た目何も変わっていない平版を今度は現像液の中に通します。これによって露光した部分以外の画線部は取り除かれ非画線部となります。」の部分をプリプレス課の人に撮っていただきました!中を洗浄して現像液を取り替えた直後でないと取り除かれた画線部により液体が緑色に変色してしまい平版が通る様子が見えなくなってしまうとのことです。超激レア!この第12回はプリプレス課の人に大変お世話になりました。
(2016,9,13 投稿記事)
その⑬「版胴とブラン胴」
各色ユニットの上下についている版胴とブラン胴。刷版室で作成された平版を版胴に巻き付けることで印刷が可能になります。
平版の画線部にのったインキがブラン胴に転写し、それがさらに紙に転写されることで印刷されるという仕組みです。「印刷工場見学会」や「かっぱんだ」がブラン胴で逆さになっているのが分かるでしょうか。
ブラン胴に巻かれているブランケットはゴム製。上下両ブラン胴の間に紙を通し裏表両面を一度に印刷します。版と紙が直接触れないというのはオフセット印刷の大きな特徴です。
ちなみにブラン胴の両端にうっすら見える白い線、これは紙の両端が高速でブラン胴の間を通る際にかすかに削れ堆積したものです。
(2016.10.5 投稿記事)
その⑭「平版オフセット印刷理論」
下記の画像は今年の印刷工場見学会で各色印刷ユニットに貼られていたものです。
パイピングからインキつぼに溜まったインキがたくさんのローラーに練られながら版胴に移っていきます。
その一方で湿し水も水舟からローラーを伝って版胴へ。平版に到達したインキは画線部に、湿し水は非画線部にのります。これで絵や文字が印刷可能な状態になります。
平版の画線部にのったインキはブラン胴に転写され移ります。
そしてブラン胴にのったインキは紙にさらに転写され移ります。ブラン胴で絵や文字が一旦逆さになった後、紙に逆さの逆さで平版と同じ向きで印刷されます。
これが表裏四色一気に行われ一瞬のうちに印刷が完了します。
“オフセット(off-set)”には「離して付ける」という意味があり、平版から一旦別のところ(ブランケット)に離した後、紙に付けるという間接性を表したものです。
2016.10.18投稿記事
その⑮「ドライヤー」
紙に印刷されたインキ、当然そのままだとべとべとです。のでドライヤーで乾かしていきます。ドライヤーといっても皆様のご家庭にあるアレとは別物の、長さ4m、高さ2.5mあるドデカイものです。紙はこの中を高速で通過するわずかな時間(B4の紙なら最速で約0.78秒)に上下28本あるノズル(印刷中は蓋が閉まって通過中の紙とノズルは見えなくなります)から出る180℃前後の熱風にさらされ急速乾燥されます。オフセット輪転印刷では熱を加えると急速に乾燥するインキ「ヒートセットインキ」というものを使用しているので、この短い時間でも十分に乾きます。これにより後工程なく高速印刷が可能となります。
ちなみに、ノズルから出る熱風がドライヤー外に出ることはありませんが、ドライヤー本体からは僅かながら熱が滲み出てきます。この熱が暖房としての役割もしてくれちゃったりして寒い季節重宝します(夏は要冷房ですが…)。
2016.10.26
クーリング/排紙部/排紙部の折機部/シーター/コントロールボックス